園長からのひとこと【2023/02】

新しい年が明けて、早くも一ヶ月が過ぎようとしています。新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。十分な感染症対策をとりながらも、温かい保育に気を配っていきたいと思います。引き続き、感染症対策にご協力をお願いいたします。

さて、仏教徒が守るべき戒め(いましめ)の一つに「不殺生(ふせっしょう)」というものがあります。「殺生」という言葉は、一般的には、「生き物を殺す」という意味で使われています。しかし、この「殺す」という言葉には、単に「命を殺める」という意味だけでなく、「命を無駄にする」という意味が含まれています。動物や魚だけでなく、一粒のお米も野菜も掛け替えのない命です。私たちは、様々な命を殺めずに生きていくことはできません。しかし、その殺め頂いた命を、けっして無駄にしないような生き方はできるのではないでしょうか。様々な働きの中で生かされている私であることに感謝し、何事にも真面目に一生懸命させていただく毎日を大切にしたいものです。

感染症対策をとりながら、発表会の練習が進んでいます。一生懸命に取り組む子ども達の姿には、いつも大きな感動を頂いています。太陽の光を受けて輝く雪のように、子ども達もご家族の温かい眼差しを受けて、舞台の上でより一層輝いていくと思います。今年も制限のある中ですが、温かい応援をよろしくお願いします。

2023/2/1

 

2023-02-01

園長からのひとこと【2022/12】

年末の慌ただしさが、身に染みる季節になりました。今年も終わりを迎えようとしています。一年を大切に振り返りながら、新しい年への思いを膨らませていきたいですね。

さて、先日、新園舎建築工事に伴い、園庭のクスノキがついに伐採されました。大きく伸びた枝が、重機によって無残にもぎ取られていく時には、クスノキの悲鳴が聞こえるようで、いたたまれない気持ちになりました。木も一生懸命生きようとする掛け替えのない命であることを、改めて実感させていただいたことでした。

考えてみると、食べ物だけでなく、住居や衣服に至るまで、私達の生活は、様々な命の犠牲の上に成り立っています。掛け替えのない命の死が、掛け替えのない命の生を守り支えているのです。私の命は、私だけのものではないということでしょう。生かされ生きていくというのは、様々な命に対して責任を持つということでもあると思います。

今年は、コロナ禍に加え、世界では戦争も始まり、世界中の人々の心が疲弊する一年となりました。そんな中でも、一年の終わりを迎えることができるのは、私自身、様々なものに支えられてきたからでしょう。

様々なものに支え守られている身の有り難さを味わい、一年の終わりを温かい感謝の想いの中で大切に迎えていきたいですね。

2022/12/24

 

2022-12-24

園長からのひとこと【2022/11】

少しずつ冬の気配を感じる季節になりました。感染症の流行も心配されます。体調に気をつけながら、寒い冬の季節を楽しみましょう。

さて、先日、NHKのテレビ番組で、植物に関する興味深い特集が放映されていました。草木などの植物は、人間の目には、動いたり反応することのない鈍感な生物に見えています。しかし、植物の世界には、人の目には決して見えない、豊かな命の営みがあることが最新の研究で分かってきているそうです。

その一つが、植物は、お互いにコミュニケーションしているというものです。例えば、虫に食べられた植物は、それ以上食べられないための防御反応を起こすことが分かっていたそうですが、驚くべき事に、最新の研究では、虫に触れられていない少し離れたところに生えている植物にまで防御反応が見られることが分かってきたそうです。これは、虫に食べられた植物が、近くに生えている植物に「虫がいるぞ、気をつけろ。」と伝えているからだそうです。

人に見えている世界が、けっして全てではないことを改めて教えられた気がしました。まもなく、どんな命も同じく尊いと教えてくださったお釈迦様の成道会を迎えます。自分以外の様々な命に敬いと思いやりの心を持ち、今年最期の一ヶ月を優しく丁寧に過ごさせていただきましょう。

2022/12/01

 

2022-12-01

園長からのひとこと【2022/10】

残暑が続く日々から一転、急に肌寒さを感じるようになりました。運動会では、様々な制限の中にも、子ども達の大きく成長した姿を保護者の皆様と一緒に喜べる時間がもてました。様々なお願いにも快くご協力くださり、まことにありがとうございました。

さて、最近の秋は、大変短くなりました。始まったばかりの秋の季節を楽しめるのも、あと少しです。秋に色づく木々の中にイチョウがあります。大阪の御堂筋には、約4キロにもわたるイチョウ並木があり、秋の絶景の一つとして有名です。

そのイチョウですが、実は、シーラカンスやカブトガニなどと共に、生きた化石の一つとして数えられています。その起源は、恐竜が生きていた時代よりもさらに前の約2億年前と考えられています。

しかし、イチョウは、日本の野山には生息していません。元々は、中国に生息していた外来種だそうです。それが、古くから日本人に愛され、人の手によって、これだけたくさんのイチョウが植えられてきたそうです。

人のいない太古の時代から、秋の季節を彩ってきたイチョウの美しさに、昔の日本人達は、どんな思いを馳せてきたのでしょう。短い秋の季節の中にも、心豊かに自然を味わえる時間を大切にしたいですね。

2022/10/31

 

2022-10-31

園長からのひとこと【2022/09】

ようやく秋の訪れを間近に感じる季節になりました。運動会に向けて一生懸命練習する子ども達の笑顔が、今年も園庭を彩ってくれています。

さて、先日、コウテイペンギンの子育てに関する興味深い記事を見つけました。凍てつく南極大陸に生息する最も体の大きなペンギンです。コウテイペンギンは、卵を産む季節になると、海から天敵のいない内陸へと集団で移動するそうです。よちよち歩きで、50キロ以上も移動するといいます。魚のいない内陸を、何も食べずに2ケ月間、歩き続けるのだそうです。安全な場所で産む卵は、一つだけです。その大切な一つの卵をオスが温めます。凍てつく地面に少しでも卵が触れれば、卵は死んでしまいます。マイナス60℃のブリザードが吹き付ける中を、オスは、さらに2ケ月間、何も食べずにひたすら卵を守るのです。メスは、その間、来た道を歩いて海に戻ります。これから生まれてくるヒナに魚を食べさせるためです。メスも命がけです。無事にメスが魚を獲って帰ってくる頃には、オスの体重は半分ほどになっているそうです。メスもオスも、多くが子育ての途中に息絶えるといいます。まさに命がけの子育てなのです。

コウテイペンギンの子育ては、一つの命が生まれ育つというのは、けっして当たり前のことではなく、とても有難いものであることを教えてくれています。今年も、コロナ禍の中での運動会となりますが、元気に成長している子ども達の姿に、幸せをいっぱいに味わえる時間になればと思っています。温かい応援をよろしくお願いします。

2022/9/30

 

2022-09-30

園長からのひとこと【2022/08】

コロナ禍の緊張が続く中、暑い夏の季節が過ぎようとしています。今年も様々な制限の中で、10月の大運動会へ向けた練習が始まります。過ごしやすくなっていく季節の中、子ども達の成長がいよいよ楽しみです。

さて、昨年、東北大学の川島隆太教授を中心とする研究グループが、スマホの使用時間が長い子どもの大脳に、発達の遅れが見られることを発表しました。川島教授は、5歳から18歳の子ども224名を対象に、3年間の脳の発達の様子をMRI装置を使って観察したそうです。すると、スマホの長時間使用が、子ども達の脳の成長を阻害していることが分かってきたといいます。毎日のように、スマホでインターネットを見る習慣がある子ども達の脳は、3年間、ほとんど成長していなかったそうです。これは、5歳からスマホを見る習慣があったとすると、8歳になっても、脳は、5歳のまま変わらないということです。日常の中に何気なく潜む危険に、はっとさせられたことでした。

やっぱり子どもというのは、たくさん泣いて、たくさん笑って、大人を喜ばせたり、心配させたり、その中でこそ、たくましく成長していけるものなのでしょう。機械ではなく、たくさんの人々や命ある者との関わりを大切に、泣いたり笑ったりの子ども達の姿を喜べる大人でありたいですね。

2022/8/30

 

2022-08-30

園長からのひとこと【2022/07】

セミの声が本格的な夏の到来を告げています。大変暑い日が続いています。熱中症等に気を付けながら、暑い夏を楽しく過ごしていきたいと思います。

さて、今年は、コロナ禍に加え、戦争や痛ましい事件など、次々と胸が締め付けられるような出来事が起こっています。殺伐とした世の中で、改めて人間らしい心を持つことの大切さを思います。

仏教の修行の一つに「ダーナ」と呼ばれるものがあります。日本では「布施(ふせ)」という言葉で伝わっているものです。布施という行為は、「自分が大切にしているものを他人のために施していく」という意味があります。布施の行いの中には、笑顔を見せる和顔施や好ましい眼差しを送る眼施、また、座る場所を譲る床座施など、私達が普段気をつけて行うことができる行為もたくさん説かれています。特別なことではなく、普段の何気ない心遣いが、他人を幸せにし、自分も幸せにしていくのでしょう。

世の中の雰囲気は、人の心が作り上げていくものです。どんな状況においても、自分にできる些細な優しさを大切に、人の笑顔がたくさん見られる毎日を過ごしていきたいですね。

2022/7/27

 

2022-07-27

園長からのひとこと【2022/06】

史上最も早い梅雨明けを迎え、夏本番の季節がやってきました。

仏教で説かれる言葉の一つに「澍法雨(じゅほうう)」というものがあります。仏様の働きを雨に喩えた言葉です。澍という漢字は、「潤う」や「注ぐ」という意味があります。「澍法雨」というのは、仏様の温かい教えの言葉が、まるで草木を潤す雨のように降り注ぎ、私達の心を癒やしてくださることを表現した言葉です。

雨が降り続く梅雨の季節は、活動が制限される人間にとっては、時に都合の悪い季節にもなります。しかし、あらゆる生き物にとって、なくてはならない水が、空から降り注ぐ季節というのは、あらゆる生き物を潤し癒やしていく、とても美しい季節ともいえるでしょう。

今年は、そんな美しい梅雨の季節が、史上最も短いものでした。雨に濡れながら美しく咲く紫陽花の花や、田んぼで鳴くカエルの声など、命が生き生きと輝いている素敵な景色も、もう楽しめないと思うと寂しいですね。

太陽が元気に輝く夏本番を迎えます。子ども達にとっては、暑い中にもワクワクする季節でしょう。子ども達と一緒に、暑い夏を楽しんでいきましょう。

 

 

2022-06-30

園長からのひとこと【2022/05】

新緑が美しい季節になりました。これから梅雨の季節を迎えます。雨の季節ならではの美しさや楽しみも、子ども達と一緒にたくさん見つけていきたいと思います。

さて、先日、元お茶の水女子大学教授の内田伸子先生が書かれた、幼児教育に関する大変興味深い記事を目にしました。それは、家庭での絵本の読み聞かせが、子どもの語彙力に大きな能力差を生み出していくというものでした。内田先生は、文字の読み書きの早期教育よりも、家庭での絵本の読み聞かせの大切さを推奨されています。

絵本には、日常会話では使わない様々な豊かな表現が詰まっています。また、子どもの想像力も大きく膨らんでいきます。しかし、同じ読み聞かせでも、子どもに強制的に読み聞かせることは、逆効果だそうです。親が、子どもと一緒に絵本を楽しみ、子どもと一緒に感動を共有することで、子どもの語彙力が大きく伸びていくのだそうです。

語彙力は、自分の気持ちや物事の状況を上手に説明できたり、その人の人間的な魅力を引き立たせていくものです。子ども達の生きる支えとなっていくものでしょう。

親子が、絵本を読みながら、一緒に喜んだり悲しんだりできる時間は、とても幸せな時間だと思います。子どもは、大好きな家族と幸せな時間をたくさん経験する中で、生きる力が自然と育まれていくのでしょう。忙しい中にも、子どもと過ごす幸せな時間を大切にしていきましょう。

 

 

2022-05-27

園長からのひとこと【2022/04】

満開の桜の花もすっかり散り、新緑の美しい季節になりました。保育園では、新しい年度がスタートし、一ヶ月が経とうとしています。新入園の子ども達にも、素敵な笑顔が見られるようになりました。

さて、現在、保育園の園庭では、子ども達が、たくさんのダンゴムシを捕まえて遊んでいます。潰れないようにやさしく手で包み込んだり、過ごしやすいように草や葉っぱも一緒に虫かごに入れてあげたりする子ども達の姿は、とても微笑ましいものです。

信州大学の森山徹先生という方が、2011年に『ダンゴムシにも心はあるのか』という本を出版されています。森山先生は、大脳のないダンゴムシにも心があることを世界で初めて科学的に証明した先生として、この本で注目を集めました。森山先生は、危機的状況に置かれたダンゴムシの行動を分析し、機械なら同じことを繰り返すだけのところを、試行錯誤し、それぞれに個性ある行動を現すところに、ダンゴムシの心を認めています。小さなダンゴムシにも、喜んだり悲しんだりする心があるのです。子ども達の優しさも、きっとダンゴムシに届いていることでしょう。

小さな虫の心にも寄り添える、そんな優しさを持てることは、人として本当に素晴らしいことだと思います。忙しさに追われる日々の中にも、子ども達が見せてくれる素敵な姿に感動出来る瞬間を大切にしていきたいですね。

 

 

 

2022-04-29