園長からのひとこと【2021/09】

秋の訪れを間近に感じる季節になりました。今年もコロナ禍のため、通常の大運動会の開催は難しい状況ですが、そんな中でも、運動会に向けて一生懸命練習する子ども達の笑顔が、園庭を彩ってくれています。

さて、先日の9月21日は、今年の中秋の名月にあたる日でした。1年で最もお月様が美しく輝く日です。しかも、今年は8年ぶりに中秋の名月と満月とが重なる特別な年でした。当日は、少し曇り空でしたが、雲の合間にとても美しい満月を見ることができました。

月の明かりというのは、太陽の光とは違い、私達の心にほっとした安らぎを与えてくれるものです。しかし、あんなに美しく輝く月は、自分の力で輝くことができません。太陽の光を受けて、はじめて美しく輝くことができるのです。

これは、私達人間にも言えることのような気がします。人が輝くというのは、その人を輝かせる様々な働きがあってのことでしょう。一人で出来ることは限られています。人も、月と同じように、他からの光を受けて、はじめて生き生きと輝くことができるのだと思います。

昨年に引き続き、今年も、コロナ禍の中での運動会となりますが、周りの方々の光をいっぱいに受けて、キラキラと輝く子ども達の姿に、誰もが感動できる運動会になればと思います。温かい応援をよろしくお願いします。

 

 

 

 

2021-09-29

園長からのひとこと【2021/08】

コロナ禍の緊張が続く中、暑い夏の季節が過ぎようとしています。今年も様々な制限の中で、10月の大運動会へ向けた練習が始まります。過ごしやすくなっていく季節の中、子ども達の成長がいよいよ楽しみです。

さて、先日、日本人の特徴について、とても興味深い記事を見つけました。それは、虫が鳴く声を「虫の声」と聞いているのは、世界の中でも日本人だけだというものです。西欧人やお隣の韓国人や中国人でも、虫の鳴き声は、単なる雑音の一つに過ぎないというのです。これは、虫の鳴き声を機械音や雑音を処理する右脳で聞いているか、人間の話す声の理解など、論理的知的に処理する左脳で聞いているかの違いだそうです。

虫が鳴く声を聞いて、「虫の音」と感じるか「虫の声」と感じるかの違いです。虫の音を聞いている外国人には、虫の思いは聞こえていないでしょう。ただ機械音のような雑音が響いているだけです。しかし、虫の声を聞いている日本人には、虫の思いが聞こえているのです。虫が鳴く声は、虫がお話している声なのです。

虫にも心があることを知っている私達は、とても幸せです。これから秋が深まり、静かな夜に様々な虫の声が聞こえてくるでしょう。子ども達と一緒に、虫の心にも耳を傾け、命を感じていける時間を大切にしていきたいですね。

 

 

 

 

2021-08-28

園長からのひとこと【2021/07】

梅雨明けが発表され、セミの声が聞こえる本格的な夏の季節になりました。いまだマスクが外せない日々が続いています。感染症と熱中症に気をつけながら、夏の暑い季節を乗り切っていきたいと思います。

さて、お釈迦様のお弟子の中に、カルダイという名前の方がおられました。このカルダイは、いわゆる不良青年です。お釈迦様の仏教教団に属しながら、規則を守らない、お釈迦様の言うことも聞かない、問題行動ばかりを起こすはみ出し者だったようです。ところが、このカルダイ、お経の中で聴衆の一人として、よく登場しています。お釈迦様のご法話を聞く場に、よく座っておられたということです。問題行動の多いカルダイでしたが、お釈迦様のお話を聞くのは、好きだったのでしょう。お釈迦様も、その他のお弟子の方々も、不良青年であるカルダイを注意することはあっても、追い出すことはしなかったのです。お釈迦様の周りでは、どんな人間も認められていく世界があり、みんな平等に居場所が恵まれていたのでしょう。

私のことを認めてくれる場所が、私の居場所です。コロナ禍の中、居場所がない人々が増えていると聞きます。子どもの居場所は、大人が作っていかなければなりません。みんなが自分の都合を超えて、お互いに認め合うことの出来る、そんな温かく柔らかい雰囲気の中で、子育てを楽しんでいきましょう。

 

 

 

 

2021-07-28

園長からのひとこと【2021/06】

雨に濡れた紫陽花の美しさが、心和ます季節になりました。田んぼで鳴くカエルの声も、梅雨の季節の到来を告げています。

先日、北海道の札幌市で、商業施設や住宅が建ち並ぶ市街地にクマが出没したというニュースが報道されていました。4人の方が襲われ、重軽傷を負われたそうです。ニュースでは、「クマは、猟友会によって駆除されました」という表現が使われていました。

致し方のないこととはいえ、一つの命が失われた事実を「駆除」という言葉で表現していたことに、一抹の寂しさを感じたことでした。「駆除」という表現には、邪魔者を追い払ったという意味だけが強調され、命を殺めざるをえなかった、人としての心の痛みは隠れています。

「邪魔者なら殺してもいい」という道理を、仏教では邪見といい、そのような物の見方を強く戒めています。この世界に生きるに値しない命など、一つとしてないことを、お釈迦様は、教えてくれています。どんな命も深い慈しみの中にあるのです。殺めざるをえない中に、悲しみを感受できる心を持つことが、本当の人間らしさではないでしょうか。

子ども達には、どんな命をも同じように大切に思える、優しく柔らかい心をいつまでも大切に持ち続けて欲しいものですね。

 

 

 

2021-06-28

園長からのひとこと【2021/05】

新年度が始まり、もうすでに二ヶ月が過ぎようとしています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いています。引き続き、感染症対策に気をつけながら、これからの梅雨の季節を、子ども達と一緒に楽しんでいきましょう。

さて、先日の小運動会と保育参観では、コロナ禍の中にも関わらず、快くご協力くださり、まことにありがとうございました。この度は、コロナ禍に配慮し、花まつりの集いも一緒にさせていただきました。お釈迦様のお誕生日をお祝いする花まつりでは、甘茶をいただくのが、大切な習慣になっています。これは、お釈迦様がお生まれになった時に、空から甘露の雨が降ったと伝えられているからです。「甘い」という味は、人の心を癒していく優しさを表しています。雨は、乾いた世界に潤いをもたらすものです。お釈迦様の誕生は、あらゆる命の上に本当の癒しと潤いをもたらすものであることを、甘露の雨のお話は伝えているのです。

甘茶の甘味は、砂糖の200倍ともいわれています。それほど甘いのにカロリーはゼロで、抗アレルギー作用や歯周病に効果のある生薬としても昔から使用されてきました。

コロナ禍の中、誰もが胸が詰まるような毎日を送っています。そんな時だからこそ、甘い味で人に癒しと潤いをもたらす甘茶のように、お互い、ほっとした安心を周りに与えていける優しさを大切にしていきたいですね。

 

 

2021-05-28

園長からのひとこと【2021/04】

あちらこちらで鯉のぼりが元気に泳ぐ季節になりました。保育園では、新しい年度がスタートし、一ヶ月が経とうとしています。新入園の子ども達にも、素敵な笑顔が見られるようになりました。新型コロナウイルスの第4波の流行が、全国に広がりつつあります。引き続き、感染症対策に細心の注意を払っていきたいと思います。ご家庭においても、十分ご注意ください。

さて、今年もツバメの子育ての様子が保育園でも見られるようになりました。ツバメの子育ては、巣作りから始まります。3月下旬頃から、田んぼなどから泥や枯れ草を少しずつ運び、直径13㎝ほどのお椀状の巣を作ります。巣が出来上がったら、中に枯れ草や自らの羽毛を敷き詰めてフカフカのベッドを作り、そこに卵を産むのです。ヒナが卵からかえれば、一日500回以上、巣と餌場を往復し、ヒナを育てていくそうです。ヒナの成長のために、親鳥は生きるのです。一つの命を守り育てていくというのは、本当に大変な苦労が伴うものであることが分かります。しかし、そこに命としての美しさがあるのでしょう。

私達も、様々な人達の温かい苦労の中で育てられてきたのでしょう。子育ての苦労の中には、他には代えがたい喜びもたくさん詰まっています。子ども達の命を慈しみ、苦労の中にも命としての美しさを輝かせていける、そんな愛情深い毎日を大切にさせていただきましょう。

2021-04-28

園長からのひとこと【2021/03】

春の暖かい空気の中、いよいよ、新年度がスタートしました。新入園児の皆さんをお迎えし、一つずつ大きくなった在園児の皆さんと一緒に、今年度も、夢がいっぱいにつまった素敵な日々が始まります。

昨年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、今年度も、引き続き予断の許さない状況が続きます。制限がある中にも、子ども達の姿が輝く毎日を大切にしていきたいと思います。

嘉川保育園には、阿弥陀如来様がいらっしゃいます。阿弥陀如来様は、どんな命も同じように愛おしく慈しんでくださるみ仏様です。これから嘉川保育園で過ごす子ども達一人ひとりが、阿弥陀如来様に慈しまれる掛け替えのない仏の子です。温かいみ仏様のお心の中で、日々経験していく一つ一つのことが、子ども達にとってかけがえのない成長の糧となっていくことでしょう。楽しいことも、そうでないことも、毎日が、み仏様から恵まれた大切な宝物です。子ども達の笑顔も涙も、宝物のように大切にしていける保育園でありたいと思います。

これからの一年間、保育園と保護者の皆様とが車の両輪のようになって、子ども達の限りない輝きを支え、一緒に心からその輝きを喜んでいくことが出来ればと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

2021-04-01

園長からのひとこと【2021/02】

今年度も、残すところ、あと一ヶ月となりました。発表会は、保護者の皆様に直接ご覧いただくことができず、大変残念でしたが、子ども達はカメラの前で程よい緊張を味わいながら、一生懸命取り組んでいました。間もなくDVDをお届けできると思います。楽しみにお待ちください。

さて、先日、お隣の防府市にコウノトリが飛来しているという記事が新聞に掲載されていました。2月に入り、ため池などで度々目撃されているそうです。コウノトリは、昭和46年を最後に野生から姿を消し、現在、最後の生息地であった兵庫県豊岡市が中心となり、野生復帰に向けた様々な取り組みが行われているそうです。この度、防府市に飛来したコウノトリは、昨年3月に徳島県でふ化した鳥だということでした。

コウノトリは、幸せを運ぶ鳥と言い伝えられてきたことで有名です。それは、赤ちゃんを運んでくる鳥として信じられてきたからです。子どもは授かり物という、昔の人々の豊かな感受性を伝える素敵な鳥です。人は命を壊すことはできますが、作り出すことはできません。私達は、無数の様々なご縁の中で、不思議としか言いようのない命の出会いをさせていただいているのでしょう。

子育ては楽しいことばかりではありません。しかし、それは、掛け替えのない幸せが運ばれてきたことであることを、コウノトリは教えてくれています。残り一ヶ月で、進学・進級していく子ども達です。成長した姿の上に、幸せをいっぱいに感じてあげられる毎日を大切にしていきましょう。

 

 

2021-02-27

園長からのひとこと【2021/01】

新しい年が明けて、早くも一ヶ月が過ぎようとしています。先日は保育園にも雪が積もり、雪を見て喜ぶ子ども達の声が、明るく保育園を彩ってくれました。

さて、昨年の1月15日が、日本ではじめて新型コロナウイルスの感染者が確認された日だそうです。それから一年が過ぎ、私達の生活様式も一変してしまいました。特に大きく変わったものの一つとして、みんなが集まっての会食があります。コロナ禍の中、みんなが集まって会食する場ははばかられ、避けられるようになりました。

ある歴史学者の先生が、日本の中世社会における会食が、重要な儀式であったことを、ある雑誌に紹介されていました。中世社会では、人々が集まり共に食事をすることは、お互いの関係をより一層緊密にして、連帯感を育んでいく大切な儀式的行為だったそうです。昔の人々は、会食を、ただ楽しむものとしてではなく、人々の連帯感を生んでいくためになくてはならないものとして考えていたということでした。

現代の人々は、会食について、そこまで真剣に考えている人は少なかったでしょう。しかし、このような状況になってみると、人と繋がりを深める場が、私達にとって、どれほど大切なものであったかが知らされます。

まもなくコロナ禍で迎える初めての発表会です。子どもの輝く姿を通して、子ども、保護者、職員が温かく繋がりを味わえる発表会を目指しています。直接ご覧いただくことは叶いませんが、みんなが笑顔になれる映像をお届けしますので、楽しみにお待ちください。

 

2021-02-01

園長からのひとこと【2020/12】

年末の慌ただしさが、身に染みる季節になりました。今年も終わりを迎えようとしています。

さて、毎年、京都の清水寺で今年の世相を表す漢字が発表されています。今年は、「密」という漢字でした。新型コロナウイルスの流行が始まってから、世界中で人々が密になる状態を警戒するようになりました。「密」という言葉は、今では、恐くて危険というイメージがあります。しかし、本来、人々が密になることは、決して悪いことではありません。清水寺の森貫主も「コロナ禍だからこそ、心のつながりの大切さを知る大切な一字」というコメントをされていました。

生きる上で、最も恐ろしい状態は、密ではなく孤独だと思います。どんな人も、様々な想いや働きの中で生かされて生きています。密に人との繋がりを感じる中に、人間らしい日暮らしが恵まれていくのでしょう。

まだまだ人が密に集まることのできない日々は続きそうです。今年の年末年始は、自宅で家族だけで過ごされる方も多いことでしょう。密になれない時だからこそ、密に繋がることのできる家族の存在は本当にありかたいものです。コロナ禍の中で迎える年末年始、家族の温かい繋がりを大切に、お互いの心は密にして迎えましょう。

2020-12-25